このような疑問にお答えします。
この記事の内容
- 定期借家契約とは
- 普通賃貸借契約との違い
- なぜシェアハウスでは定期借家契約なのか
- 定期借家契約の注意点
書いてる人の自己紹介
シェアハウスアドバイザーの「KOTARO」です。
ボクはフリーWEBデザイナーとして活動しながら、5年間の実体験をもとに、シェアハウスアドバイザーとして「物件の提案」や「住人のサポート」を行っています。
そんなボクがシェアハウスの契約でよく採用される「定期借家契約」について解説していきます。
定期借家契約とは
あまり馴染みのない「定期借家契約」という言葉。
この制度はもともと2000年3月より施行された「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」の中で、定期借家権が導入され、新しい借家制度が誕生しました。
実は、それ以前までは普通借家契約しか存在しませんでした。
もともと普通借家契約は、入居者(借主)に非常に有利な契約内容です。たとえばオーナー(貸主)は正当な事由がなければ賃貸契約を解約できないので、一時的に貸したいオーナーにとっては、とても悩ましい契約でした。
そんな背景の中、空き家の有効活用、また遊休資産の有効活用法として利用価値の高い定期借家制度が施行されました。
物件を賃貸として貸し続けるのではなく、一定期間だけ借家にしたい、または売却を考えているけどそれまでは借家にしたいという場合に、定期借家契約は有効なのです。
普通賃貸借契約との違い
では次に、定期借家契約と普通賃貸借契約と異なるポイントを見てみましょう。
定期借家契約のポイント
・定期借家契約は書面による契約が必要
・普通借家契約の場合は1年以上。でも定期借家契約なら1年未満の契約期間も有効
・契約の更新は無いけど、双方合意による再契約で住み続けることができる
・転勤、療養、親族の介護などやむを得ない事情の場合は中途解約可能。ただし特約があればその取決めに従う
なぜシェアハウスでは定期借家契約なのか
定期借家契約には「更新」がありません。更新の代わりに、オーナーと入居者の双方が合意の上、「再契約」を結ぶことで事実上の契約更新が行われます。特に「双方」というのが重要です。住人だけではなくオーナーもまた再契約しない意思を持つことができます。
国土交通省が出した「シェアハウスに関する市場動向調査結果について」の2015年8月〜9月の調査を参考に、「最も典型的な契約形態」を見てみましょう。
- 普通賃貸借契約:14.1%
- 定期借家契約:77.5%
- その他:5.6%
- 無回答:2.8%
この統計から分かるように、多くのシェアハウスでは「定期借家契約」を採用しています。
この定期借家契約は、入居者にとってはかなり不利な契約に思えます。
しかし、一方でシェアハウスが抱える住人間トラブルの問題や迷惑住人への対抗策となります。
定期借家契約の注意点
定期借家契について、それからなぜシェアハウスで定期借家契約が採用されるのかについてはお分かりいただけたと思います。
次に、定期借家契約にまつわる疑問について、解説していきます。
契約が終わったら退去しなきゃダメなの?
定期借家契約の場合、契約更新はないとお伝えしましたが、契約期間が来たら必ず退去するわけではありません。
オーナーと入居者の双方が納得した上、再契約を結ぶことで、継続的に入居することができます。
自動更新ではないので、契約満了のたびに再契約を結ばなければならないのが面倒ですが、先にも書いたとおり、迷惑住人の対抗策として必要な手続きと考えましょう。
いきなり退去を求められたりしないの?
定期借家契約の契約期間内に途中解約することは、オーナーも入居者も原則として認められていません。
ただしオーナーと入居者の双方の話し合いにより、入居者が立ち退きを了承する場合には、退去(解約)は可能となっています。
また、契約終了の通知について、契約期間が1年以上の定期借家契約の場合は、オーナーは期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができないと定めています。
途中解約ってできるの?
入居者も原則として中途解約することはできません。
しかし、例外もあります。一定の条件を満たせば、中途解約が認められる場合もあります。それは以下の3つです。
1居住用として使用(シェアハウスなので、この条件はクリアです)
2床面積200㎡未満(小規模シェアハウス)
3転勤、療養、新族の介護その他やむを得ない事情で契約を続けることができない場合
上記は特約がない場合の話しです。中途解約に関しては、シェアハウスごとに決められている場合が多いので、入居前に契約書を確認してください。
どのくらいの契約期間が一般的なの?
先と同じく、国土交通省が出した「シェアハウスに関する市場動向調査結果について」の2015年8月〜9月の調査を参考に、「最も典型的な契約期間」を見てみましょう。
- 1ヶ月~2ヶ月未満:5.6%
- 2ヶ月~6ヶ月未満:14.1%
- 6ヶ月~1年未満:38%
- 1年~1年半未満:16.9%
- 1年半~2年未満:8.5%
- 2年~2年半未満:9.9%
- 2年半~3年未満:2.8%
- 無回答:4.2%
特約でトラブルが起こった
シェアハウス入居時にあった特約を見落として、退去時のトラブルに発展することがまれにあります。
特に途中解約やデポジットに関する特約はしっかりと確認しましょう。そして気になる特約にはどんどん質問して予め契約内容を把握しておきましょう。
「途中解約したら、残りの契約期間の家賃が請求された」
「返金されるはずのデポジットが返ってこない」
面倒に感じるかもしれませんが、後々のトラブルを防ぐために、退去に関するルールは必ず入居前に確認しておきましょう。
まとめ | 定期借家契約は住人の快適性を守る契約
いかがだったでしょうか?
定期借家契約は入居者に不利な契約のようですが、住人の快適性を維持するために必要な契約。管理会社にとって「良識ある住人」なら心配する必要はありません。